ご案内
ハードディスクに丸ごと入れて、利用できる。
このようにしてできたファイル、CDがマーケットに出て流通する時代を、私は想像上のこととしてではなく考えている。
だが、パソコン時代では、万巻を読むスタイルが変わる。
病床の人には、CDで小説が聞ける。
あるいは読める。
本を開いて読むより、よほど便利だ。
パソコンのモニターで、デカルトの書簡をパラパラめくる。
メモし、広く紹介したいような部分があったら邦訳をつける。
送られてきた友人の「論文」を、コメントをつけながら読む。
Sの小説を開きながら、一字一字注釈をつけてゆく。
Mの小説の気に入った箇所に、「挿し絵」を描きながら読んでゆく。
そして、それらを保存する、あるいはコピーすれば、自分だけでなく不特定多数の人でも利用可能な形態になる。
こんなことは、従来の本の場合、考えられなかった。
つまり、読むことが多様な形を取るだけでなく、その多様さを、すぐ誰もが利用できるような形で提供できるようになる。
つまり、人は気張らず、とり綴かれずに、万巻の書を読むようになるということだ。
M、1949年京都市生。
処女作「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。
87年出版した「ノルウェイの森」は上下巻合わせて270万部のベストセラーとなった。
私は、書物の全盛の時代の最後を生きた。
その最大の恩恵を受けた一人だろうと自分ではいささかオーバーに考えている。
しかし、たしかに紙製の本形式の書物に代わる知識と情報を伝達するメディア(媒体)が現れたのである。
私は、書籍が、店頭から急速に消えるなどということはないと考える。
しかし、書籍は、パソコンメディアをオリジナルとする超豪華版複製品として、その位置を保つと予測する。
パソコンメディアの他に、ぜひ愛蔵本として備えておきたいという愛好家のための特別ふさわしい名前がない。
もちろん、本書籍は、長い伝統もあり、用途も多様で、普及しているだけでなく、パソコンメディアにはない便利さがある(といわれている)。
第一は、電源のないところでも読める。
第二は、印さえつければ、目指すところへ、開けばすぐ達することができる。
第三は、装飾品としてもいい。
第四は、財産価値が出るものがある。
第五に、どんどんあげることができるが、しかし、これらはすべてパソコンメディアでカバーできるものばかりである。
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